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2019-04-16
お知らせ
小児整形外科について

「こどもというだけでどこの病院でも嫌がられるんです。」という言葉を時々耳にします。

「こどもが手(や足)を痛がっているので診てほしい。」これに関しては小児整形外科の知識、経験がない医師は「分からないので恐い」というのが現実のようです。


こどもの骨折


当院ではこどもの骨折も多く治療しています。こどもの骨は大人と比べると、性質、形態とも大きく異なりますので、診断・治療もおのずと異なってきます。したがって、小児整形外科の知識を踏まえた診断・治療が必要です。特にこどもの肘の骨折は非常に頻度も高く、しかも成長線に近いところでの骨折ですので、きちんとした診断治療をしないと後々変形が残ったり、成長障害が起こったりします。


【上腕骨顆上骨折】

小学校低学年までの肘の骨折のうち、最も頻度が高い骨折です。ズレがほとんどないものはギプスだけの治療で十分ですが、大きくずれてしまった骨折は手術をしたほうがむしろ早く治ります。手術といっても実際にはメスは使わず、麻酔をかけて眠っている間に骨を戻して、直径1~2mm程の細いピンで固定するだけの方法で治療します。入院が必要となりますが、実際の入院期間は3、4日から長くても4、5日ですみます。


【上腕骨内上顆骨折】

肘の脱臼を伴うことが多く、サッカーやラグビーなどの激しいスポーツを始める小学校高学年から中学校までに多い骨折です。年齢が低いほど判断しにくい骨折です。


【上腕骨外顆骨折】

比較的判断が難しく、しかもいかにしっかりギプス固定をしていても、徐々に骨がずれてくることが多いため、極めて注意が必要な骨折です。肘の骨折のうち、もっとも骨がつきにくく、骨がつかないと後々肘が変形し障害を起こすもとになります。


【橈骨頭骨折】

年齢が低いと骨が見えないため診断が難しい骨折のひとつです。肘の骨折のうち外顆骨折同様、放置すれば後々機能障害を起こすもとになりやすい骨折です。


【その他】

こどもには、こども特有の「骨端線(別名:成長線)」という、完全に骨になっていない部分が体のあちこちにあります。この部分は軟骨で出来ているため、強度的に弱く、骨折するとこの骨端線で折れやすいという特徴があります。しかも骨端線での骨折は完全に整復をしてすら、後に成長障害を起こす危険が残りますので、最初の段階で可能な限りきれいに整復しておくべき骨折です。


こどもの手足の痛み


こどもの手足の痛みにはいろんな病態が隠れています。不用意に湿布や痛み止めで放置すれば大きな問題につながることになりかねません。通常、こどもの手足の「痛み」で痛み止めを使う必要があるのは、手術直後や、若年性リウマチといった特殊な疾患くらいです。また、こども特有の特殊な疾患については専門的な知識も必要です。

 

-文責 上新 淑文-


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